気候変動への対応 Responding to Climate Change
株主・投資家、取引先、地域社会、地球環境
基本的な考え方
住友理工グループは、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し温室効果ガス削減目標を定め、自社から排出するCO2(Scope1、2)だけでなくサプライチェーンで排出するCO2(Scope3)の削減にも全社一丸で取り組んでいます。
自社排出量削減については、再生可能エネルギーへの転換だけでなく生産エネルギー削減の両面からアプローチし、当社のコア技術であるモノづくりや材料、製品開発力をいかんなく発揮し気候変動の緩和と適応を進めています。サプライチェーンについては、原材料や部品などの購入や輸送、廃棄に関わるCO2の削減に向けた企画や実行も進めています。
自社排出量削減については、再生可能エネルギーへの転換だけでなく生産エネルギー削減の両面からアプローチし、当社のコア技術であるモノづくりや材料、製品開発力をいかんなく発揮し気候変動の緩和と適応を進めています。サプライチェーンについては、原材料や部品などの購入や輸送、廃棄に関わるCO2の削減に向けた企画や実行も進めています。
SBT認定取得
2021年4月、住友理工を含めた住友電工グループの温室効果ガス排出削減目標がSBTi(Science Based Targets initiative)の認定を取得しました。目標値は、「Scope1+2を2018年度基準で2030年度までに30%削減、Scope3については2018年度基準で2030年度までに15%削減」です。これはパリ協定が求める水準(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準 Well Below 2℃:WB2℃)と整合した目標です。なおIPCC第6次評価報告書が示すように、これまで以上の温室効果ガス削減努力が必要とされていることから、2023年に発表した住友理工グループ「環境2029V」では、1.5℃目標も視野に目標達成年度を1年前倒しで設定しています。
気候変動対応に関する情報開示
住友理工グループは、2022年6月にTCFDの提言への賛同を表明し、有価証券報告書や統合報告書、Webサイト等を通じて適切な情報開示に努めています。今後もISSB基準等の国際的なサステナビリティ開示基準の動向等を踏まえ、情報開示の質向上に努めていきます。
温室効果ガス削減中長期目標
項目 | 目標年 | CO2削減 目標値 |
---|---|---|
住友理工グループ 環境長期ビジョン2050 | 2050年 | カーボンニュートラルの達成 |
2029年 住友理工グループVision(2029V) | 2029年度 | Scope1+2 2018年度比 30%減 Scope3 2018年度比 15%減 |
2025年 住友理工グループ 中期経営計画(2025P) |
2025年度 | Scope1+2 2018年度比 20%減 |
事業活動における温室効果ガス削減の取り組み
住友理工グループでは、「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて、徹底したエネルギーロス低減や設備のスイッチオフ活動などエネルギー生産性向上(省エネ改善)を進めるとともに、エネルギー効率の低い設備の更新(インフラ改善)を進めていきます。また使用するエネルギーについては太陽光発電やグリーン電力など再エネ電力の導入を進め、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいます。
温室効果ガス排出量(住友理工グループ)
住友理工グループの2024年度温室効果ガス排出量は2018年度に比べ29.3%減少しました。また、2024年度の原単位は、2018年度に比べると47.9%低下しました。

※1 原単位の分母は、集計対象範囲の売上高(内部取引消去後)を使用。
※2 2023年度以降、電気のCO2排出係数はロケーションベースからマーケットベースに変更し、電気事業者別の排出係数を使用(一部でIEA「Emissions Factors」に記載の国別係数を使用)。
※3 電気以外のCO2排出係数は、環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」に記載の係数を使用。
※4 2023年度以降は温対法の改正に伴い係数が変更されています。
※5 本項目に掲載の排出量データは、第三者機関による保証を受けています。ただし、原単位は保証対象に含まれません。
※2 2023年度以降、電気のCO2排出係数はロケーションベースからマーケットベースに変更し、電気事業者別の排出係数を使用(一部でIEA「Emissions Factors」に記載の国別係数を使用)。
※3 電気以外のCO2排出係数は、環境省の「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」に記載の係数を使用。
※4 2023年度以降は温対法の改正に伴い係数が変更されています。
※5 本項目に掲載の排出量データは、第三者機関による保証を受けています。ただし、原単位は保証対象に含まれません。
エネルギー使用量(住友理工グループ)
住友理工グループの2024年度のエネルギー使用量は、2023年度に比べ7.6%減少しました。

※1 原単位は保証対象に含まれません。
※2 原単位の分母は、集計対象範囲の売上高(内部取引消去後)を使用。
※3 一次エネルギー換算係数は、日本経済産業省「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」による係数を使用。
※4 2023年度以降は省エネ法の改正に伴い係数が変更されています。
※2 原単位の分母は、集計対象範囲の売上高(内部取引消去後)を使用。
※3 一次エネルギー換算係数は、日本経済産業省「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」による係数を使用。
※4 2023年度以降は省エネ法の改正に伴い係数が変更されています。
再生可能エネルギー使用量(住友理工グループ)
住友理工グループの2024年度の再生可能エネルギー(以下、再エネ)使用量は、前年度に比べ50%増加し、再エネ率は6.2%増加しました。

※再エネ率=再エネ電力使用量/全使用電力量
カーボンニュートラルの達成に向けて、住友理工グループでは再エネ電力比率の拡大とともに調達方法の多様化も積極的に推進しています。2024年度は自社敷地内での太陽光発電の追加導入以外に、食品リサイクルによるバイオガス発電の調達、住友電工グループとして住友電装と住友理工共同でのオフサイトPPA調達など、新たな取り組みを実施しました。
温室効果ガス排出削減事例


①太陽光発電の導入
太陽光発電は温室効果ガスを発生しない代表的な再生可能エネルギーであることから、住友理工グループでも積極的に取り入れています。 2024年度は日本、中国、インドネシア拠点に計4.9MWの太陽光発電設備を導入したことで、発電容量は累計21.1MW(昨年比1.3倍)、年間のCO2排出削減量は10,500[ton-CO2]に達しました。


②CNチームによるグローバル省エネ活動の推進
住友理工グループでは、本社と拠点工場との一体感を高めCO2削減目標を確実に達成することを目的とした『CNチーム』活動を実施しています。2024年度は、CO2排出量の多い小牧製作所、米国、中国を中心に8チームで活動しました。この活動では、毎週開催されるCN定例会を通じて、小牧製作所で実績のある省エネアイテムの横展開(スイッチオフ・停電化活動、エア・熱漏れ対策等)を積極的に実施しました。その結果、約8,000ton/年のCO2を削減することができました。中国の住理工汽車部件(広州)有限公司(SRK-GZ)は、自社での取り組みや中国の他拠点への展開活動が客先に認められ、最高の評価を頂きました。
2025年度はCO2係数の高い東南,南アジア地区でCNチームを発足し、更なるCO2削減を実施していきます。
2025年度はCO2係数の高い東南,南アジア地区でCNチームを発足し、更なるCO2削減を実施していきます。


③熱ロス低減活動
住友理工では、加硫機や乾燥炉をはじめ多くの熱エネルギーを使用しているため、熱ロス対策が重要な課題となっています。そのため、各部門で使用設備毎に最適な遮断熱仕様のアイデアを出し、検討・改善を重ね、実用化しました。また、実績が出た対策は仕入れ先各社へも導入の働きかけを行い、Scope3サプライチェーンにおける排出量の削減にも貢献しています。
④コージェネレーションシステム(CGS)の最適稼働化

コージェネレーションシステム(CGS)は、発電と同時に発生する熱を有効利用するシステムです。従来の発電では発電時に生じる熱は利用されず大気中に放出されますが、CGSではこの熱を給湯や蒸気の生成に使うことで、エネルギー効率が向上し、CO2削減にもつながります。
小牧製作所ではCGSの最適稼働化をボイラーの効率向上と併せて実施し、約1,800ton/年のCO2排出量削減に繋げました。
小牧製作所ではCGSの最適稼働化をボイラーの効率向上と併せて実施し、約1,800ton/年のCO2排出量削減に繋げました。
サプライチェーンの温室効果ガスの削減
住友理工グループは、「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて、自社の事業活動で排出する温室効果ガス(Scope1およびScope2)の削減とともに、原材料の調達や販売した製品の使用・廃棄などに伴うサプライチェーン全体で排出する温室効果ガス(Scope3)の削減についても、取り組みを進めています。
住友理工グループの2024年度のサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量は、Scope1+2が8.6%、Scope3が91.4%でした。特にScope3ではサステナブル材の導入や電動車向け製品の拡大等により2018年度比15%削減となりました。
住友理工グループの2024年度のサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量は、Scope1+2が8.6%、Scope3が91.4%でした。特にScope3ではサステナブル材の導入や電動車向け製品の拡大等により2018年度比15%削減となりました。


•Scope1: 75千t-CO2eq
•Scope2: 206千t-CO2eq
•Scope3: 3,000千t-CO2eq
※カテゴリー1 = 購入製品・サービス
カテゴリー11 = 販売した製品の使用
その他 = カテゴリー2~10、12~15
•Scope2: 206千t-CO2eq
•Scope3: 3,000千t-CO2eq
※カテゴリー1 = 購入製品・サービス
カテゴリー11 = 販売した製品の使用
その他 = カテゴリー2~10、12~15
モーダルシフトや輸送効率化の促進
住友理工では、「輸送方法の改革(モーダルシフト)」、「荷物を集約し、車両を大型化して従来よりも少ない便数で配送する(便数の削減)」などの効率的な輸送により、物流においても環境負荷の低減を図っています。今後も荷物集約やルート改善による減便活動にて削減への取り組みを実施していきます。
今後の課題と対応
2023年3月に公表された国連の地球温暖化最新報告書(IPCC第6次評価報告書)では、世界各国に対し現状よりも大幅かつ速やかなGHGの排出量削減を強く訴えています。これを受けて住友理工グループも現在の温室効果ガス削減計画を着実に進めるとともに、削減目標の前倒し達成や新たな目標を設定していく必要があると考えています。またカーボンニュートラルに向け、自社だけでなく住友電工グループや地域周辺企業、異業種企業との協働も働きかけ、地球全体の危機回避を進めていきます。