住友理工

 

適正な化学物質の管理 Appropriate Chemical Substance Management

株主・投資家、取引先、従業員、地球環境

基本的な考え方

住友理工グループは、製品の原材料や生産工程で使用する副資材をはじめ、空調装置に使用する代替フロンなど、様々な化学物質を使用しています。一方、化学物質の中には人体や環境に有害なものもあり、適切に処理しないと土壌や大気、水質の汚染を引き起こすため、人や生き物の健康に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。このため、欧州を中心に化学物質の使用や廃棄に関する規制は年々厳しくなっています。
当社はこうしたリスクを抑えるため、各国の規制に基づき化学物質を管理するルールを制定し、禁止物質を含まない原材料の調達、従業員教育を通じた適正管理に取り組むことで、安全・安心な製品づくりを行っていきます。

購入品の化学物質管理

製品含有化学物質管理の考え方

住友理工グループは世界20か国で生産を行い、製品は多くの国で使用されています。そのため、各国の法規制や納入先の化学物質基準を踏まえ、使用可能な原材料・部材を定め、調達基準を策定しています。
仕入れ先にはこの基準を共有し、禁止物質の使用や副産物の混入を防止するとともに、原材料ごとに化学物質情報のデータベースを整備しています。また、納入品については、お客様ごとの要件に応じてIMDSなどで情報を報告し、社内でも一元管理しています。これにより、法規制やお客様の要望に適合した製品を提供しています。

購入品の決定と輸出入対応

住友理工は、規制物質を流出させないために欧州のELV指令※1、RoHS指令※2、REACH規則※3、国内法規制、GADSL※4、IEC62474※5を中心とした各国の法規制や、お客様からの要求事項を踏まえて、社内で使用可能な原材料を決定しています。
また住友理工は、海外のグループ生産拠点へ材料・部品・製品を輸出しています。欧州のREACH規則、中国の新化学物質環境管理登記弁法※6や危険化学品登記管理弁法※7、米国のTSCA※8など輸出先の規制に対して、仕入れ先の協力を得て適切に対応しています。

※1 ELV指令: 欧州(EU加盟国)における廃車規制
※2 RoHS指令: 欧州の電気・電子機器に含まれる特定有害物質の規制
※3 REACH規則: 欧州における化学物質登録と有害物質管理の規制
※4 GADSL: 自動車業界の国際的な管理物質
※5 IEC62474: 電気電子業界の国際的な管理物質
※6 新化学物質環境管理登記弁法: 中国における化学物質登録の規制
※7 危険化学品登記管理弁法: 中国における有害物質管理の規制
※8 TSCA: 米国における化学物質登録と有害物質管理の規制

PRTR規制物質の管理

住友理工グループは、化学物質の排出や移動を行政機関へ報告するPRTR(化学物質排出移動量届出)制度に基づき、適切な管理と届け出を行っています。この制度は日本をはじめ多くの国で導入されており、当社でも対象となる化学物質の使用量や排出量を正確に把握し、行政機関へ報告しています。また、社内でも化学物質の管理体制を整え、排出の削減にも取り組んでいます。こうした取り組みにより、法律を守るだけでなく、環境への負荷を減らし、地域社会からの信頼にもつなげています。
PRTR規制物質の排出量と移動量(住友理工)

大気汚染物質削減の取り組み

大気に排出された揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds:VOC)は太陽光の紫外線と反応し、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因となります。住友理工グループで使用する原材料のうち、主にゴムと金具の接着に使用する接着剤やホースのゴム糊、金具の防錆塗料などに含まれるVOCは、乾燥とともに大気へ放出されます。そのため塗着率が高いスプレーガンの開発などによる接着処理機のロス低減、塗料の水性化などによるVOC使用量低減による大気排出量の削減に取り組んでいます。今後も継続していくとともに接着剤の水性化など新たなテーマをサプライヤーと協働で取り組んでいきます。
VOC排出量(住友理工)
※ 集計範囲は、 住友理工株式会社です。
※ 原単位の分母は、集計対象範囲の売上高(内部取引消去後)を使用。
※ 日本ゴム工業会の「VOC排出削減に関する自主行動計画」に基づき集計。

VOC・加硫ガス処理装置管理

VOC・加硫ガス処理装置は、火災や故障停止による排出規制値の超過などのリスクがあります。当社では、この処理装置に関して、設計および運用に関する注意点をまとめたガイドブックを作成し、各拠点に周知徹底を図っています。またこのガイドブックでは、過去に発生した不具合事例とその推定原因及び対策内容も紹介し、再発防止と改善活動に活用しています。

事例紹介

海外拠点のVOC、加硫等排出ガス対策事例

住理工汽車部件(嘉興)有限公司(中国)
①VOC低減対策
住友理工グループでは、各国のVOC排出に関する法規制強化に対応するため、使用量の削減に加えて、大気への放出濃度規制が厳しい中国、米国、ポーランドなどの拠点に燃焼式や吸着式のVOC処理装置を導入して対応しています。
住理工模具(天津)有限公司(中国)
②加硫ガス対策
中国では、2016年の中央生態環境査察により環境規制の厳格化が始まり、多くの企業が処罰を受けました。当社のグループ会社でも、ゴムの混練りや加硫時に発生するNMHC(非メタン炭化水素)について、燃焼式や光酸化触媒などを使用した加硫ガス専用の処理装置を順次導入して対応しています。

汚染土壌・地下水の浄化

住友理工グループでは、金具の洗浄に塩素系有機溶剤を使用していました。しかし、1990年代に土壌や地下水の汚染、さらに健康への影響(発がん性)が世界的に問題となり、規制が強化されたことから、水系洗浄剤に切り替えました。
土壌汚染が確認された拠点では法律に基づいて行政に届け出を行い、汚染場所の浄化を継続的に進めています。浄化方法は、工場が稼働していない土地では掘削による除去や土壌の入れ替えを実施し、稼働中の土地では地下水の揚水曝気や嫌気性バイオ処理を行っています。また、モニタリングを通じて汚染物質濃度の低下を継続的に追跡しています。
浄化完了拠点:岡山製作所(日本 浄化後土地売却済)、Sumiriko AVS(仏)
浄化継続拠点:小牧製作所、松阪事業所、埼玉事業所(全て日本)

オゾン破壊物質の適正管理

住友理工グループは、オゾン層の保護と地球温暖化防止のため、フロン類の大気中への放出抑制や自然冷媒の採用を進めています。フロン排出抑制法に基づいた住友理工の2024年度漏洩量は64.1t-CO2eqでした。法に基づく定期点検を通じて運用管理を行い、適正な廃棄と回収を実施しています。今後も計画的に機器更新を進め、フロン使用量の削減に努めてまいります。

PCB機器の適正管理

不燃性、電気絶縁性が高く、化学的に安定な性質を有するポリ塩化ビフェニル(PCB)は、当社グループでも高圧トランスやコンデンサなどで使用していました。しかしストックホルム条約(POPs条約)制定や各国の法規制によって製造・使用が原則禁止になり、厳格な保管管理と計画的な廃棄物処理が必要になりました。住友理工グループは対象物を把握し、各国法規制に従い計画的に適正廃棄処理を進めるとともに、適正に保管してきました。2020年春に松阪事業所の高濃度PCB廃棄物の処理が終了したことで、日本における高濃度PCB廃棄物の処分は全て終了しました。

アスベストの適正管理

アスベスト対策ガイドブック
アスベストは耐熱性、耐火性、絶縁性、防音性に優れた材料として、建材や設備部品に幅広く使用されてきました。しかし近年では、アスベストと健康被害の関係が科学的に解明され、日本をはじめ多くの国で使用が規制または禁止されています。住友理工グループでは建物等におけるアスベスト使用状況の再調査を2017年に実施し、問題がないことを確認しました。その後新たに判明した部材などの対象物については、速やかに封じ込めや囲い込み等の措置を講じ、適正な管理や処置を行っています。またアスベストの適正な管理方法や補修・撤去時の注意点をまとめた対策ガイドブックを作成し、教育資料として活用しています。

今後の課題と対応

化学物質規制は年々厳格化しており、国や客先ごとに規制内容や対象物質が異なるため、これらに対応するためには、購入原材料から出荷製品、さらには排出物までのトレーサビリティが重要です。
出荷製品に関しては、現在構築中の購入原材料データベースを拡充し、出荷製品まで一括管理できるデータベースの構築を進めていきます。また、新たな規制にも迅速に対応できる仕組みを作っていきます。
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