化学物質管理
大気汚染物質削減の取り組み
大気に排出されたVOC※1は太陽光の紫外線と反応し、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因となります。当社グループで使用する原材料のうち、主にゴムと金具の接着に使用する接着剤やホースのゴム糊などに含まれるVOCは、乾燥とともに大気へ放出されます。そのため塗着率が高いスプレーガンの開発、塗料の水性化、接着処理機のロス低減、揮発防止対策など削減活動に取組んでいます。今後も継続していくとともに接着剤の水性化など新たなテーマをサプライヤーと協働で取り組んでいきます。
- ※1 VOC: Volatile Organic Compounds 揮発性有機化合物
- VOC排出量(住友理工国内グループ)
- ※2 集計範囲は、住友理工、住友理工グループ国内9社です。
- ※3 原単位の分母は、集計対象範囲の売上高(内部取引消去後)を使用。
- ※4 日本ゴム工業会の「VOC排出削減に関する自主行動計画」に基づき集計。
海外拠点のVOC、加硫等排出ガス対策事例
①VOC低減対策

燃焼式VOC処理装置 TRJ(中国)
住友理工グループでは、各国のVOC排出に関する法規制強化に対応するため、使用量の削減とともに、直接大気へ放出することが規制されている中国や米国、ポーランド等の拠点では燃焼式や吸着式VOC処理装置を導入して対応しています。
②加硫ガス対策

加硫ガス処理装置 TRG(中国)
中国では、2016年の中央環境査察により環境規制の厳格化が始まり、多くの企業が処罰を受けました。当社グループ会社でもゴム練りや加硫時に発生するNMHC(非メタン炭化水素)排出濃度の順守を当局から強く求められたことから、燃焼方式や光酸化触媒などを使用した加硫ガスの専用処理装置を順次導入しています。その結果、排出濃度は約1mg/m3以下に低減でき、基準をクリアすることができました。
オゾン破壊物質の適正管理
オゾン層の保護、地球温暖化防止のため、フロン類の大気中への放出抑制や自然冷媒の採用を進めております。フロン排出抑制法に基づく2019年度の漏えい量は、約0.2千t-CO2でした。法に基づいた定期点検による運用管理、適正な廃棄回収をしています。今後も、計画的に機器更新を進め、フロン使用量削減を進めてまいります。
PCB機器の適正保管
不燃性、電気絶縁性が高く、化学的に安定な性質を有するポリ塩化ビフェニル(PCB)は、当社グループでも高圧トランスやコンデンサなどで使用していました。しかしストックホルム条約(POPs条約)制定や各国の法規制により製造・使用が原則禁止になり、厳格な保管管理と計画的な廃棄物処理が必要になりました。住友理工グループは対象物を把握し、各国法規制に従い計画的に適正廃棄処理を進めるとともに、適正に保管してきました。2020年春に松阪事業所の高濃度PCB廃棄物の処理が終了したことで、日本における高濃度PCB廃棄物の処分は全て終了しました。
アスベストへの対応

アスベスト対策ガイドブック
アスベストは耐熱・耐火性や絶縁性、防音性に優れた材料として、建材や設備部材に幅広く使用されてきましたが、アスベストと健康被害の関係が科学的に解明され、日本をはじめ多くの国で使用が規制又は禁止されています。当社グループでは建物等におけるアスベスト使用状況の再調査を2017年に実施し、問題ないことを確認しました。その後新たに判明した部材などの対象物は、速やかに封じ込めや囲い込み等の措置を行い、適正な管理や処置を行っています。またアスベストの適正な管理方法や補修・撤去時の注意点をまとめた対策ガイドブックを作成し、教育資料として使用しています。
購入品の化学物質管理
住友理工グループは、様々な化学物質を含む原材料を使用して製造した自動車用部品、事務機器用部品、産業用製品などのゴム・樹脂製品を提供しています。化学物質によるリスクを最小にするため、地域社会の汚染防止、職場の安全確保、製品の顧客要求遵守のそれぞれで適切な管理に努めています。
管理対象物質の制定と運用
住友理工の管理対象物質は、各国法規制やお客様からの要求をふまえ、欧州のELV指令※5、RoHS指令※6、REACH規則※7、国内法規制、GADSL※8、IEC62474※9を中心に制定しています。お客様へ規制物質を流出させないため、各部門の役割や運用方法のルールを徹底し、含有管理し、情報開示に努めています。
- ※5 ELV指令: 欧州(EU加盟国)における廃車規制
- ※6 RoHS指令: 欧州の電気・電子機器に含まれる特定有害物質の規制
- ※7 REACH規則: 欧州における化学物質登録と有害物質管理の規制
- ※8 GADSL: 自動車業界の国際的な管理物質
- ※9 IEC62474: 電気電子業界の国際的な管理物質
海外の化学物質規制への対応
住友理工は海外のグループ生産拠点へ材料・部品・製品を輸出しています。欧州のREACH規則(2008年)、中国の新化学物質環境管理弁法(2010年)※10や危険化学品登記管理弁法(2011年改正)※11、米国のTSCA(2016年改正)※12等の規制に、仕入れ先様、輸入会社様の協力を得て適切に対応しています。
- ※10 新化学物質環境管理弁法: 中国における化学物質登録の規制
- ※11 危険化学品登記管理弁法: 中国における有害物質管理の規制
- ※12 TSCA(Toxic Substances Control Act): 米国における化学物質登録と有害物質管理の規制