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E
電動化

熱制御テクノロジー

熱をコントロールし、
クルマをより快適、よりエコに。

自動車においてシステムの温度を適正に保つことは、本来の高い能力を発揮するために極めて重要です。また、エンジン車に比べて熱の発生量が少ない電気自動車(EV)においては、熱源を冷やすだけでなく、車内で発生した熱をいかに効率よく利用できるかが航続距離や性能に大きく影響します。このように熱を無駄なく、効率よく使い切るのが熱制御技術です。

ニーズ

拡散しやすい熱エネルギーの
ロスを最小限に。

エンジン車は排熱量が多いため、その熱を熱源として流用することができます。しかし、バッテリーEV車はエンジン車のような排熱レベルは期待できません。そのため、エアコンなどを使用することで電力を大幅に消費し、航続距離がさらに短くなってしまう問題を抱えています。車で発生する熱エネルギーを、いかにロスなく運び、効率的に使えるか。一方で、電動部品は熱を溜め込むと性能を大きく落としてしまうため、温度を一定に保つことが不可欠です。これらを解決する技術が、電動車をより快適で、より省エネなものにします。

価値

独自技術と新製品の開発で、
電費効率の向上に成功。

金属に比べ、ゴムや樹脂の配管は、廃熱エネルギーを少ないロスで運べるメリットがあります。廃熱ロスを極力少なくすることで、EVの航続距離の改善に貢献が可能です。また、ゴムや樹脂などの材料開発で培った分散技術により、断熱性の高い素材を水に混ぜ、塗料化することに成功。塗料を不織布にコーティングし、薄くて軽い画期的な断熱材を開発しました。自動車のドアや天井にシート状の製品を設置したり、エアコンのダクトに直接塗布したりすることで、エアコンの省電力化につながり、車内環境をより快適にすることができます。

関連製品

ファインシュライト

薄膜高断熱材「ファインシュライト」

高分子材料技術を応用し、空気が動けないほど微細な、ナノサイズの細孔を持つ高断熱フィラー(シリカエアロゲル)を塗料化。不織布、成形樹脂などの基材にコーティングすることで、静止空気以上の高断熱性を発揮します。車載用のほかに、家電や住宅、フードデリバリーなど多様な分野での活躍が期待されています。

冷却系ホース

冷却系ホース

ラジエーターホースやバイパスホースなど、自動車を冷却する冷却水を運ぶホース。また、冷却だけでなく、電動部品から発生した廃熱を他の回路に利用する際にも用いられます。

interview

Heat Control Technology

高断熱性の塗料開発で、
未来のクルマをより快適に。

新商品開発センター
モビリティ商品開発部

中野 資之

薄膜高断熱材
「ファインシュライト」
高断熱フィラー(シリカエアロゲル)の水性塗料化に成功。静止空気以上の高断熱性を発揮することで熱を適切にコントロールすることができ、電動化の進展でさらに求められる車室内の快適性向上に貢献します。
ファインシュライト画像

クルマの未来を見据えた
新たな素材への挑戦。

自動車の電動化が進むと熱のコントロールが非常に重要になります。EVはモーター駆動であるために、エンジン車とは違い、大きな熱源を持ちません。そのため、EVでは、冬場の暖房のためにバッテリーのエネルギーを使用する必要があります。走行に回せるエネルギーは少なくなり、結果、航続距離が短くなってしまうというわけです。この課題を解決するカギとなるのが車室内の断熱。私たちが目をつけたのは、シリカエアロゲルという材料でした。宇宙航空産業にも使われるほど優れた断熱性を持つ一方で、もろく、取り扱いが非常に難しい材料と言われています。このシリカエアロゲルをどう製品化するかというのが、このプロジェクトのポイントでした。

一般的な不織布(左)とファインシュライトを塗布した不織布(右)の熱伝導性実験。
熱したホットプレート上に氷を用いて比較したところ、ファインシュライト(右)の断熱性の高さが実証されました。

素材の可能性を
最大限に引き出す。

シリカエアロゲルは非常にもろく、粉末状であるため、そのままでは使用が難しい。そこで当社のコアコンピタンスである「高分子材料技術」を活用し、水性塗料化するという方法を考えました。自動車製品の厳しい規格、環境配慮の観点から、VOC(揮発性有機化合物)レス・水性化は必須です。これが実現すれば、自動車用断熱材として主力の発泡断熱材や繊維断熱材とは全く発想の異なる「塗布型断熱材」として大きく差別化が図れます。しかし、水に溶けず、非常に軽く水に浮いてしまうシリカエアロゲルの性質により、水性塗料化は困難を極めました。材料・製法の両面からのアプローチでトライアル&エラーを繰り返し、当社が長年培った分散制御技術により、フィラーを高比率で含んだまま、均一に混ざった状態を維持すること、まさに、画期的なシリカエアロゲルの塗料化に成功。また塗布技術においても、均一に塗ることが難しい不織布や樹脂に対して、数cmサイズの試作から始め、現在は水性塗料の製造から、基材である不織布や成形した樹脂に自動コーティングまで行える量産製法を確立することができました。今後は、塗布できる断熱材という特徴を生かしてさまざまな塗工方法やさらなる高機能化を検討し、ファインシュライトの可能性を広げていきます。

これからのクルマの
“当たり前”をめざして。

ファインシュライトの製品化を発表して以来、毎日のように様々な企業や研究機関からお問い合わせや相談をいただいています。嬉しいことに、私たちが予想しなかった自動車以外の分野からも多数の引き合いをいただいている状況です。しかし、自動車分野においては、まだまだ断熱材のニーズを掘り起こせていないという認識です。一方で、自動車の電動化・自動運転化により、クルマが単なる移動手段から居住空間へと変化する未来がやってくると予想され、クルマの中でも家やオフィスと同じくらいの快適さが必要とされるでしょう。断熱材が多用されている建物と同様、いずれ、クルマのあらゆる熱源に対しても、断熱材を用いることが常識になるはず。その時に、どんな部位にでも塗布ができ、省スペースで熱をコントロールするファインシュライトが断熱材の主流、“当たり前”となっているように、さらなる開発とブランディングを続けていきます。

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